保険や生活に関するヒントが満載!
その道のプロに聞く
保険業界に少なからず関連している業界のプロに、その業界だからこそ見えてくる貴重な話を伺ってきました。
皮膚科や形成外科のほか、がんの統合医療など、幅広く診療しているクリニックの院長。
現在、作家として活躍している海堂尊氏とともに、外科研修医時代を過ごす。
1. がん細胞と共存・共栄していく統合医療
- ――白衣ではなくて、カラフルなアロハのような服装なので驚きました。
- 寺田伸一(以下、寺田)これは、手術のときに着る術衣なのですよ。白衣を見ると緊張されて、血圧が高くなる患者さんが多くいらっしゃいますので、リラックスしていただくために着ています。アンケート調査したことがあって、3分の1の患者さんに好印象を持っていただいています。
- ――船橋ゆーかりクリニックでは、どのような治療を受けることができますか?
- 寺田元々私は形成外科の専門医なので、形成外科の手術をしています。具体的には皮膚のしこりや腫瘍を取ったり、切断した指の接着、お腹を切った人の傷をきれいに治すといった手術になります。ほかにも皮膚科や美容外科があり、保険が使える「保険診療」と使えない「自由診療」の二本立てとなってます。
- ――保険診療と自由診療の割合は?
- 寺田保険診療のほうが多いですね。自由診療だけですと患者さんが構えてしまう部分もありますし、このあたりは皮膚科が少ないので、地域に根差すためにも保険診療は欠かせないと考えています。自由診療で行っているのは、「美容医療」とがんに関する「統合医療」になります。
- ――がんの統合医療というのは?
- 寺田「三大療法」と呼ばれる「手術」「化学療法」「放射線療法」だけではなく、「代替医療」と呼ばれるそれ以外の治療を合わせて、患者さんを治療することを言います。例えば化学療法の抗がん剤は、がん細胞をやっつけるのが目的ですが、副作用があり、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。統合医療を導入することで、がん細胞と共存・共栄し、日常生活に支障が出ないようにすることができるのです。
- ――具体的にどのような統合医療をされているのでしょうか?
- 寺田がん細胞の免疫原性(※)はさまざまです。そこで当院では、健常な細胞を認識して、健常ではない細胞を攻撃する「ナチュラルキラー細胞」を増殖させる「BAK(バック)療法」を行っています。当院の場合は、まず患者さんの血液を「仙台微生物研究所」という機関に送って、ナチュラルキラー細胞を増やしてもらいます。その後、ナチュラルキラー細胞を増やした血液を、患者さんの体内に戻すという流れになります。
※生体の免疫系を刺激して、抗体の産生を誘発する性質。 - ――細胞を増やすのに、どれくらいの時間が必要になるのでしょうか?
- 寺田ナチュラルキラー細胞を100億個くらいに増やすのですが、約2週間かかります。また、「高濃度ビタミンC点滴」もおすすめしています。アメリカですと「FDA(アメリカ食品医薬品局)」という政府機関主導で「治験」(新薬や医療機器の有効性や安全性を確認し、製造・輸入などの許可を厚生労働省から得るために行われる、治療を兼ねた試験のこと)をして、抗がん剤注射のまえにビタミンCを投与することの有効性が認められています。しかし日本では、高濃度ビタミンC溶液は、高額な審査費用などの問題で、いまだ申請されていません。
- ――高濃度ビタミンC点滴にはどのような効果が?
- 寺田体内のビタミンC濃度を350?400mg/dlに上げられれば、がん細胞周囲に発生した過酸化水素でアポトーシス(細胞死)を誘導できると言われています。
- ――普段からビタミンCを摂ることは、がん予防になるのでしょうか?
- 寺田いいと思いますよ。高品質の医療機関向けサプリメントで、ビタミンを1日2g摂取したほうがいいでしょうね。ビタミンCだけではなく、ビタミンDも抗がん作用があると言われています。ビタミンCは、牛や豚などの動物とは違い、人間の体内では合成されません。ですから、外から摂る必要があるのです。