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相互会社っていったい何?
保険業法により、保険会社のみに設立が認められている「相互会社」。保険契約者にとっては、保険会社が相互会社でも株式会社でも、契約上の権利・義務の違いはありません。ではいったい、相互会社は株式会社と何が違うのでしょうか?
相互会社と株式会社の違い
相互会社は、保険業法に基づき設立された法人で、株式会社は、会社法に基づき設立された法人です。また、相互会社は「保険契約者」が社員となり、「社員総会(総代会)」が会社の意思決定機関となります。一方、株式会社は「株主」が会社の構成員であり、「株主総会」が会社の意思決定機関となっています。
相互会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
資本 | 基金(基金拠出者が拠出) | 資本金(株主が出資) |
構成員 | 社員(保険契約者)※ | 株主 |
意思決定機関 | 社員総会(総代会) | 株主総会 |
※約款で社員としない旨が定められた保険の契約者を除く。
- 相互会社の「基金」とは?
- 「基金」とは、保険業法に基づき、基金拠出者に拠出してもらった資金のこと。株式会社における「資本金」に相当し、自己資本の充実を図ることができます。
なお、基金は「償却」(返済)する必要がありますが、基金を償却するために「基金償却積立金」を積み立てておくことが、保険業法により定められています。
社員総会と総代会について
相互会社の意思決定機関である「社員総会」には、保険契約者である社員全員が参加できる権利を持っています(約款で社員としない旨が定められた保険の契約者を除く)。ただし、一般的に相互会社の社員数は膨大なため、各相互会社では、社員総会に代わるべき機関として「総代会」を設置しています。総代会は、社員から選出された総代が参加し、おもに剰余金の処分、定款の変更、総代候補者選考委員の選任、取締役・監査役の選任などを決議しています。
なお、会社経営について理解を深めるため、一般的に社員は総代会の傍聴をすることができます。
- 審議機関の設置
- 多くの相互会社には、社員から寄せられた会社経営に関するさまざまな意見・提言などを審議する機関が設置されています。おもに社員や学識経験者の中から、総代会の決議により選任された方で審議機関は構成されています。この機関により、総代会に参加できない社員の意見・提言について、審議することができるのです。
社員の権利・義務について
社員には、総代選出にあたっての信任投票権や、一定数以上の社員による臨時総代会の招集請求権、総代会の議案提案権、保険約款に基づく保険金等の支払請求権、定款や保険約款の定めに基づく社員配当金請求権などの権利があります。
また、社員には保険料の払込義務があります。
相互会社の利益について
相互会社と株式会社では、おもに保険契約者に対する配当の、決算上の処理が異なっています。相互会社の場合、利益は「剰余金」として扱われ、社員総会または総代会の決議により、おもに保険契約者への配当金(社員配当金)として処理されます。剰余金は「剰余金処分に関する決議書」に記載され、「損益計算書」には記載されません。
なお、株式会社の場合、保険契約者への配当は「損益計算書」に記載されますので、相互会社と株式会社の利益(剰余)を比較する際には注意が必要です。