保険のはなし
保険に関するさまざまな情報を
保険見直し本舗独自の視点でお伝えいたします。
保険会社が準備している自己資本
保険会社には、一般の会社にはない自己資本があります。これらの自己資本は、おもにさまざまなリスクに備えるために準備しているものとなります。保険会社の自己資本を知ることで、リスクに対する備えが十分かどうか、確認することができるのです。
危険準備金
保険会社が、さまざまなリスクに対して用意している責任準備金のうちのひとつ。危険準備金は、おもに以下のようなリスクに備えるために、積み立てることが義務付けられています。
なお、危険準備金の額は、各保険会社が発行しているディスクロージャー誌の「責任準備金明細表」で確認することが可能です。
生命保険契約の保険リスク | 予定死亡率より実際の死亡率が高くなった場合に、保険金等の支払いによって発生する損失 |
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第三分野保険の保険リスク | 医療保険やがん保険などにおいて、給付金等の支払いが急増した場合に発生する損失 |
最低保障リスク | 変額保険などの死亡保険金額や年金額は、運用によりその額が変化しますが、実際の運用により、最低保障額をまかなうことができなかった場合に発生する損失 |
予定利率リスク | 資産運用における利回りが、予定していた利率より下回った場合に発生する損失 |
価格変動準備金
株式や外貨建債券など、価格変動により損失が発生する可能性が高い資産に関して、積み立てることが義務付けられた準備金のこと。資産の種類ごとに、積立限度額に達するまで価格変動準備金を積み立てる必要があります。
なお、価格変動準備金は、積み立て対象となっている資産の売買や評価替えなどによる損失を填補するために使用することができます(監督当局の許可を受ければ、それ以外の場合でも使用することができます)。
基金償却準備金
保険業法により、保険会社だけに認められた会社形態である「相互会社」。相互会社における資本金は「基金」と呼ばれ、外部から集められたものになります。
相互会社は、この基金を返済(償却)するために、「基金償却積立金」を積み立てておくことが義務付けられています。基金償却準備金は、基金と同額積み立てなくてはいけないため、基金償却後も集めた基金分だけ自己資本が確保されるのです。
- ここがポイント → 純資産の変動を把握しよう
- 保険会社は、株主総会や取締役会等の決議により、剰余金の配当をいつでも行うことができます。その結果、「貸借対照表」や「損益計算書」だけでは、資本金や剰余金といった「純資産」を把握することが困難です。
そこで、純資産の変化を把握するために、株式会社では「株主資本変動計算書」が導入されています(相互会社の場合は「基金等変動計算書」)。保険会社の現状を知りたいときは、これらの計算書を確認しましょう。