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その道のプロに聞く
保険業界に少なからず関連している業界のプロに、その業界だからこそ見えてくる貴重な話を伺ってきました。
組合わせによる漢方の妙
- 西洋医学の薬と漢方の違いは?
- 高橋病気を治すことを目的とした西洋医学の薬に対して、自然治癒力を上げるというのが漢方の特徴です。また、「身体を温める」という概念も、漢方の大きな特徴のひとつとなります。
例えば打撲で患部が炎症したときに、貼り薬や痛み止めを使ったとします。その結果、痛みが引いたとしても、一時的な処置であって治っているわけではありません。炎症を早く治すには、身体を温めて血流を良くすることが重要なんです。ほかにも、「むくみ」や「めまい」「胃腸の調子が悪い」「精神的な不安定さ」といった症状は冷えから来ることが多いので、冷えがなくなるだけでかなり改善されるはずです。 - 漢方の種類はどのくらいあるのですか?
- 高橋無限にあると思います。「日本薬局方」(※)に記載されている生薬(漢方薬の原料となるもの)だけで100種類以上ありますが、それらの生薬を何種類も組み合わせて漢方を作るので、組合わせは何通りにもなります。ですが、薬局で出すことのできる漢方は、日本薬局方により200種程度と決められております。
生薬は、何種類もたくさん入れればいいというものではありません。例えば、風邪や関節痛の治療などに使われる「麻黄(マオウ)」という草には、身体を温める作用がありますが、発汗作用はほとんどありません。ですが、麻黄を「桂皮(ケイヒ)」と組み合わせることで、すごく汗が出てきます。また、麻黄を「石膏(セッコウ)」と組み合わせると、汗を引かせる効果が出てくるんです。このように、組合わせによって生薬の相乗効果を狙うのが、漢方の妙でもあります。
※厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書。日本で汎用されている医薬品の情報を中心に記載されています。 - 漢方は自然の物なので、副作用の心配はないのでしょうか?
- 高橋自分の体質に合った漢方を使わないと、副作用が出てしまうことがあります。例えば、最近ではドラッグストアやインターネットでも買える「防風通聖散」。これは、内臓脂肪に効くと言われていますが、汗をかきにくく、便秘の人向けの漢方なんです。汗かきでお腹が弱い人が飲むと、脱水症状になってしまう可能性があります。
また、多くの人に風邪薬として知られている「葛根湯」も、体質を選ぶことがあります。代謝のいい人だと、汗を一気にかいて疲れてしまうことがありますし、寝つきの悪い人は余計に眠れなくなってしまうこともあります。 - 漢方は、体質によって服用を確認しないといけませんね。
- 高橋今では漢方を、薬剤師を介さずに手に入れることができますが、一人ひとりの体質を細かく聞けない売り方は、漢方にそぐわないんですよ。
食事、運動、生活習慣に気を付けて、その人に本当に合った漢方を飲み続けることで、漢方は効果を最大限に発揮することができます。漢方を始めたいという方は、一度薬剤師に相談してみてほしいですね。 - 漢方の基本的な飲み方は?
- 高橋植物の根っこや葉っぱ、実などをブレンドしたものを煮出して、「煎じ薬」として飲むのが漢方の基本的なスタイルです。漢方は、継続して飲むことがとても重要です。毎日煎じるのは手間ですが、煎じ薬はとても効果的な方法となりますのでおすすめしたいですね。中には当薬局のように、薬局内で漢方を煎じ、1回分ずつ小分けの状態にパックして受け取れるところもあります。
また、煎じた薬を濃縮した顆粒状の「エキス剤」を、お湯に溶かして飲んでいただく方法もあります。