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その道のプロに聞く
保険業界に少なからず関連している業界のプロに、その業界だからこそ見えてくる貴重な話を伺ってきました。
ピラティスとマタニティ
- 「マタニティピラティス」とは、どういったものですか?
- 府川体幹を鍛えるという目的では、マタニティピラティスも通常のピラティスもいっしょです。ただし、妊娠中の方はうつ伏せや仰向けができなくなるので、体位を制限して安全に行っています。
- ピラティスは、妊婦にとってどのような効果がありますか?
- 府川私もそうだったのですが、お腹が大きくなってくると「反り腰」になってきますよね。それにより腰に負担がかかってしまい、腰痛になる方が多いんです。また、骨盤が開くことで、「恥骨痛」や「仙骨痛」といった症状が出る場合もあります。骨盤のゆるみを防止するベルトがよく売れていることからも、こういった症状に悩む方が多いのがわかりますよね。
そのベルトの代わりに、自分の筋肉でベルトを作るのがピラティスです。開いてくる骨盤を、自分の筋肉で正しい位置に保つことができるのです。私は自分の筋肉のベルトがあったので、妊娠中も腰痛にはなりませんでした。 - ほかにはどのような効果が?
- 府川妊娠中や産後の女性は、身体の状態がすごく変化します。「妊娠高血圧症候群」(※1)や「妊娠糖尿病」(※2)など、妊娠に伴う症状にも気を付けたいですよね。適度な運動をし、ストレスを減らすことは、妊娠中の病気から身体を守りやすくしてくれると考えられていますので、ピラティスやエクササイズはおすすめできると思います。
※1 妊娠20週~分娩後12週までに高血圧が見られる、もしくは高血圧に蛋白尿を伴う症状が出ること。
※2 妊娠したことにより、血糖値が基準値以上に高くなること。 - 出産のときも役立ちそうですね。
- 府川私は帝王切開だったので陣痛は体験していないのですが、ピラティス経験者は出産時の呼吸を褒められるとよく聞きます。陣痛から出産までは、いかにリラックスして呼吸できるかが重要になりますので、いきみすぎず、呼吸をしっかりコントロールできるといいですよね。
また、ピラティスでよく使う骨盤底筋群は、出産でも重要になってきます。骨盤底筋群を鍛えておくことで出産がスムーズになり易やすく、出産により傷つき伸びた筋肉が元に戻りやすくなると考えられています。 - 先生自身の出産のとき、ピラティスは役立ちましたか?
- 府川実は妊娠6ヵ月を過ぎたころ、「切迫早産」(※)で入院することになり、産前の約3ヵ月間を病院で過ごすことになりました。入院中は24時間点滴をしながら車椅子で生活していたこともありましたが、病院内を少し歩いただけで筋肉痛になってしまうほど体力が落ちていましたね。
帝王切開で双子を出産したあとは、子供の授乳をはじめ、母親としてしなくてはならないことが多く、とても忙しかったです。トレーニングをする時間もなかったのですが、日常生活にスクープを取り入れることだけは意識していました。そのおかげか、体力の回復や体重の戻りは早かったですね。
※早産の危険性が高いと考えられる状態のこと。 - 体重はどのくらい増えましたか?
- 府川双子ということもあり、体重は12kg増えました。腹囲は110cmになり、お腹はパンパンに伸びきっていましたが、妊娠線はできませんでした。私の場合、お腹の筋肉がある程度あったのが良かったのかもしれませんね。
妊娠中のお腹に限らず、いわゆる「ビール腹」や中年太りも、お腹の筋肉があればある程度防ぐことができると思います。 - 妊娠中や産後の、ホルモン(※)バランスの変化はありましたか?
- 府川私の場合は、ホルモンバランスの崩れはほとんど感じませんでした。ホルモンバランスが崩れることで発生する、生理不順や更年期障害などにもピラティスは有効だと考えています。
体幹を鍛えることで姿勢の改善や柔軟性が高まり、骨や筋肉の余計な負担がなくなります。すると、身体のストレスも減り、ホルモンバランスが良くなるのです。ピラティスで骨格や筋肉が整うと、その内側にある内臓の位置も整い、本来の位置に整った内臓は、その臓器は、より機能的に働くことができます。各部位を正しく整えることで、人間は本来持っている身体の機能を活かすことが可能となるのです。
※体内の特定の場所で合成・分泌され、さまざまな組織や器官の活動を調節する物質のこと。甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなどのほか、性周期を作り生殖機能を司る女性ホルモンもあります。 - 産後に自分でできるトレーニングはありますか?
- 府川産後すぐはベッドで寝たきりだと思いますが、開いた骨盤や子宮を元に戻すために、骨盤底筋群をキュッと締めることだけでもしたほうがいいと思います。人間の身体はよくできているので、産後で傷ついた身体も、ある程度自然に元に戻ります。ただし、年齢や妊娠前の身体の状態にもよりますので、なかなか元に戻らない方もいらっしゃいます。ですから、ピラティスに限らずエクササイズなどで、自然治癒を促進してあげることが大切です。
- 産後は「子連れピラティス」というレッスンもあるそうですね。
- 府川産後の経過に合わせて、子供とふれ合いながらエクササイズを楽しむことができます。子連れピラティスには産後の体型を元に戻す効果や、気分転換などにもおすすめです。
また、マタニティピラティスと子連れピラティスの両方に参加された生徒さんの赤ちゃんは、機嫌が悪くなってもトレーナーが抱っこすると、おとなしくなることがあります。きっと赤ちゃんは、トレーナーの声をお腹の中で聞いているんでしょうね。 - 先生も出産経験者ですから、生徒さんとわかり合えることが多そうですね。
- 府川私自身、職場復帰するときに、まだ子供たちと離れたくないと思っていましたが、いざ復帰してみるとすごく楽しくて、家に帰ったら子供たちがいっそうかわいく思えました。そのとき、子供たちとちょっと離れるだけで、リフレッシュできたことに気づいたんです。ママは、我が子を24時間見なくてはならない状況では、自分が社会から隔離されていると思いがちです。ストレスに負けないためにも、赤ちゃんといっしょにリフレッシュすることはとても大事になってきます。
マタニティブルーや産後うつにならないためにも、同じ境遇の人が集まって体を動かしながら楽しい時間を過ごす。そのお手伝いが少しでもできればと思っています。